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心療内科医の憂鬱
山崎は今日もベートーベンの【月光】を聞いていた。最近、モルモットの数が減ったように思える。
あの、葛城という男は要注意人物だ。父親を自殺脳で失っている。葛城礼一は刑事をしていた。
5 年前、関東広域で発生した連続殺人事件を追っていた。
1人目は群馬県渋川市のビジネスホテルで毒殺された。○田という印刷会社の常務だ。
2人目は埼玉県春日部市にある○○で発見された。死因は背中を刺されたことによる、大量出血。
名前は確か、藤原。IT企業の社長だ。
3人目は○○県の山奥で白骨死体で発見された。 神澤という製鉄工場の社員だ。
4人目は渡辺順子、東京都赤羽にある廃工場のドラム缶からバラバラ死体で発見された。順子はK街にあるハローワークに勤務していた。
葛城礼一は不眠を訴え、朝霧病院の心療内科を受診した。安定剤の副作用により自殺脳を発症。
K署のトイレで拳銃自殺を図った。
盗聴や爆弾の可能性を考え、院内を捜索したが何も発見されなかった。
月光がクライマックスに入る。
警察は、派遣社員の安田という男に焦点を絞るが、あと一歩というところで逃げられてしまった。 ダージリンティーを飲もうと立ち上がると、事務員の向井志穂が入ってきた。ボンレスハムみたく太っている。
本人は35と言っているが、どう見ても45だ。
「モンスターが現れました」
ゲンナリとした。寿命が縮まりそうだ。クシャクシャと髪を掻く。
診察室に入ると、メガネ男が座っていた。
「先生、鬱病とか躁病ってあんなものあるの?」
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