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ノエルがシャワーから上がると、アンナは寝息を立てていた。
酒場で大立ち回りを演じていたのと同じ人物とは思えないほど、あどけない顔で眠っている。起きているときは大人びてみえたが、こうしていると10代後半、20代になりたてといったところかもしれない。
「天使みたい……か。」
アンナの直感はあなどれないな、とノエルは思った。
ノエルは自分の愛銃を取り出して、ぼんやり眺める。
ランプ灯がゆらゆら照らす銃身には、山羊のほかにも、〈H&G〉という文字が彫り込まれている。
それは〈聖なる山羊〉の頭文字を取ったもので、田舎町のとある名工によって作られたものであった。
そしてその名工も、かつてノエルに同じことを言ったのだった。
『ノエルって、天使みたいだね。』
そういってはにかんだ彼女の顔は、いまでもノエルの目に焼きついている。
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