Scene3 予言者《ナービー》なんてさようなら

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             ***  アンナはその豊かな胸をタオルで包んだまま、大股でノエルの前を横切った。 「羞恥心とか無いのか?」 「ぷっは~~~、生き返る~~~」  起き抜けのシャワーを浴びてきたアンナが、水さしをラッパ飲みする。 「デリカシーというか……これから先のアンナの人生が心配になるな。」 「ノエルはわたしのお母さんなの?」  といってアンナは、ノエルの目の前でレースのパンティーを履いていく。  ノエルは頭を抱えて、深いため息をついた。 「昨日会ったばかりだぞ。」 「そうゆうノエルこそ、可愛い女の子が横に寝ているのに夜這いもしないなんて。わたしの母国だったら『甲斐性なし』って、避難轟々ね。」 「おれは紳士(ジェントル)なんだ。」 「わたしだって淑女(レディ)よ。」  アンナは鼻歌まじりに下着をつけ終えると、タオルをはずした。  そのはち切れんばかりの肢体を、ノエルに見せつける。 「どう?」 「どうって、なにが?」 「きれい? って聞いてるの。」 「淑女(レディ)は恥じらうものだ。」 「わたしが知ってる淑女(レディ)は、みんな派手な下着を付けてたわ。」 「どの界隈だ。」 「貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)ですって。」 「クソババアども。」 「ノエル、口汚いのはよくないわ。」  なぜだかアンナのほうが説教を垂れる。 「誤解してるみたいだけど、わたしは処女(ヴァージン)よ?」 「さっき『甲斐性』がどうとか言ってなかったか?」 「リップサービス。」 「どっちにしろサービスになってねえな。」  とふたりが言い合っていると、ドアがノックされて、台帳係の声が聞こえた。
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