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アンナはその豊かな胸をタオルで包んだまま、大股でノエルの前を横切った。
「羞恥心とか無いのか?」
「ぷっは~~~、生き返る~~~」
起き抜けのシャワーを浴びてきたアンナが、水さしをラッパ飲みする。
「デリカシーというか……これから先のアンナの人生が心配になるな。」
「ノエルはわたしのお母さんなの?」
といってアンナは、ノエルの目の前でレースのパンティーを履いていく。
ノエルは頭を抱えて、深いため息をついた。
「昨日会ったばかりだぞ。」
「そうゆうノエルこそ、可愛い女の子が横に寝ているのに夜這いもしないなんて。わたしの母国だったら『甲斐性なし』って、避難轟々ね。」
「おれは紳士なんだ。」
「わたしだって淑女よ。」
アンナは鼻歌まじりに下着をつけ終えると、タオルをはずした。
そのはち切れんばかりの肢体を、ノエルに見せつける。
「どう?」
「どうって、なにが?」
「きれい? って聞いてるの。」
「淑女は恥じらうものだ。」
「わたしが知ってる淑女は、みんな派手な下着を付けてたわ。」
「どの界隈だ。」
「貴族の義務ですって。」
「クソババアども。」
「ノエル、口汚いのはよくないわ。」
なぜだかアンナのほうが説教を垂れる。
「誤解してるみたいだけど、わたしは処女よ?」
「さっき『甲斐性』がどうとか言ってなかったか?」
「リップサービス。」
「どっちにしろサービスになってねえな。」
とふたりが言い合っていると、ドアがノックされて、台帳係の声が聞こえた。
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