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葵「今日は少し早めですが、稽古を終わりにしようと思います」
「え!なんで!?」
あれから暫く経ち、いつもと変わらない日常を過ごしています
喜一も子供達と仲良くしていますし……そろそろ私も、動き出すとしよう
葵「少し用がありまして…喜一が取って置きの場所を教えてくれるらしいので、皆でそこに行ってみてはどうです?」
喜「え?」
「ほんま!?いくいく!」
喜「え!?」
俺!?みたいな顔ですが、喜一が取って置きの場所を隠していることは把握済み
本当に嫌なら別の場所を教えればいいですけど…喜一は連れていくだろう
喜「…絶対内緒にしてよ?」
「おう!秘密の場所やからなぁ」
「楽しみー!」
喜「……はぁ」
心なしか嬉しそうな顔の喜一を撫でつつ、皆が出払ったのを確認した私は一度、部屋へと戻ります
つい先日購入した襟巻きを巻き、帽子といか…傘?
わかりませんが、顔が隠せそうだったのでそれを被ります
今日は用心棒の仕事ではなく、私自身で見つけてきた仕事の話しをつけに行くのです!
葵「……顔見られても平気かこれ」
今の時代、写真などではなく絵で顔を描いたりするようで……一般人に危害を加える仕事ではないので、見られても困りはしない
十人程度なら返り討ちに出来る筈
まあ、一応保険をかけてって感じですかねぇ
ほくほくと、なんだかんだ考えつつも仕事が出来る嬉しさを仄かに感じる私だ
グシャッ…
「ああ!落としてしもた…」
葵「…手伝います」
「すまへんなぁ…」
相変わらずコレも変わりません
落とされた荷物を拾いつつ、この辺りで話す予定だった男を探すように見渡した
「テメェ!何してんだよ!?」
「ごめんなさい…!わざとじゃ」
「あーあー…テメェのせいで腕が折れちまったじゃねぇか!!」
が、面倒なのが目に入るよね
尻餅をつく女の人と、その横で今にも泣きそうな男の顔
その前に佇む浪士達は…既に刀を抜いているようですね
葵「ぶつかっただけで腕が折れるのか…凄いな」
「アンタ、やめときや…!聞こえたらどないすんねん!」
葵「ああ、失礼」
私から荷物を受け取りつつ、ちゃっかり後ろに隠れたお姉さん
ぶつかっただけで抜刀するとは、何とも言えない話だ
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