天職ですな?

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「本当に申し訳御座いません…!どうかご勘弁を…」 震える女の前に、隣にいた男は勢いよく頭を下げている 謝ったとしても、あの浪士達はどうにもならないと思うんだよね あれはどう見ても、ただ人を斬りたいと思っている目だから 「俺の腕が折れたんだ、治療代くれぇは出せんだろ?」 「いや…その……俺たちには、金なんて…」 持っていない。 見てわかるくらいなのだから、あえてそんなことを言う必要だってない筈なのに…浪士達は気味の悪い笑みを浮かべた この場にいる人間達は、遠目からそれを眺めるか…知らないフリをして通り過ぎる者ばかり かく言う私も、第三者である以上は知らないフリをするよ 人に縋るだけで、強くなろうともせず…戦う力のない人間の末路は知っている 弱肉強食の世界で生きてきた私にとって、何の関わりもない人間を助ける筋合いなんてないんです 「生きてる価値もねぇな!!」 「ヒィッ…!」 そう言い、刀を振り下ろそうとした浪士から目を離し…自分の目的を遂行すべく、足を進めようとした瞬間 ギィン!!! 「やめろよ!!謝ってんじゃねぇか!!!」 葵「…ん?」 刀がぶつかり合う音と、何やら聞き覚えのある声 何となくね、何となくだよ? ちょっと嫌な予感がしてね? ゆっくりと先程の浪士達に目を向けたんだけどさぁ… 喜「何の抵抗もしない人に刃を向けるなんて非道だ!!」 「何ダァ!?このガキが!!!」 先ほどバイバイした筈の喜一くんが、木刀片手に浪士と対峙しておりました 木刀でそんな音でないって いや、そうじゃねぇ 葵「何してるんですかあのバカ…!」 「ちょ、兄さん!?危ないやろ!!」 アンタもまだいたのかよ 今にも交戦を始めそうな喜一の元に行こうとしたら、さっきのお姉さんに止められたよ!!! まあ優しくすり抜けたけど 「ガキはすっこんでなぁ!!」 喜「ぐっ…!?」 再度刀を交え、蹴り飛ばされた喜一にむかい…刀を振り下ろしてきた浪士 体勢が取れず、強く目を瞑る喜一に刀は振り下ろされ… キィン…!!! 「チッ!今度は何だよ!?」 喜「…あ、葵……っ」 はい、間に合いますよね 激おこな男の顔が近いね
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