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チャン…チチチチ…
モゾ…パチっ
葵「……頭と体が痛い……」
おはようございます、葵です
いつのまにか寝ていたらしい私は目の前に映る天井を見つめながら、かけられた布団を確かめにように手を動かす
だめだ、頭がカチ割れそうに痛い
…声をかけたのが斎藤さんの部屋で、斎藤さんが私の顔を覗き込んでいたとこまでしか記憶がない
葵「ゔーーー…顔を洗いたい……ん?」
兎に角痛む頭をガシガシとかいた私は起き上がろうと体に力を込める、だが腹辺りに不自然な重さを感じそちらに目を向けた
……はて、何故土方さんがいるのか
その重さの正体は土方さんで、私の腹の上に頭を乗せながら寝息を立て眠っている。もしかして斎藤さんと土方さんを見間違えたか?
葵「…ンなわけないか…にしても、寝てると更に美形だなぁ」
「……起きててもだろうが」
葵「あ、おはようございます副長。で、何故私は副長の部屋に?」
「…覚えてねぇのか?たちが悪りぃな」
葵「朝から辛辣」
マジマジと見る機会がないので見つめていると、その瞳はゆっくりと開かれいつも通り眉間にシワを寄せた顔が見える
たちが悪いということは何か迷惑をかけたのでしょうね
葵「ひとまず顔を洗いたいので退いて頂けますか」
「くぁ…もう退いてんだろぉが」
葵「いやいや、まだ足の方にも乗っかってますよ?」
「は?」
ムクリと起き上がりながら不機嫌そうに顔を歪める土方は、葵の言葉に首を傾げながら足の方へと目を向ける
葵は葵でまだ重さを感じる足へと体を起こしながら目を向ければ…其処には満面の笑みを浮かべながらこちらを見る山崎の姿が写り込んだ
…え?
「おっはよ〜☆良く寝れたぁ?」
葵「はギャァァァァァア!!?!?」
「うぉっ…ダァ!?何しやがる守村ァ!!丞!テメェも何してやがる!!」
葵「すみません咄嗟に!!いやそんな事より!!私捕まった!?捕まりました!?」
「そんな事だァ!?」
「土方さんが寝た後捕まえて、ご一緒させてもろたで〜!」
「っ…人の部屋で遊んでんじゃねぇぇぇぇぇぇえ!!」
楽しげに飛び跳ねていう山崎を見て葵は顔を青くし布団に倒れこむ
土方は土方で朝から額に青筋をこさえ…二人を部屋からつまみ出したそうだ
不覚だ、こんな時に寝てしまうなんて
葵「クソォ…お酒なんて飲んだから!」
「葵ちゃん下戸なんやなぁ?まあ酔ってフラフラ歩き回っとる葵ちゃんは実物やったから暫くほおっとったけど〜」
葵「ぬぁぁ!!一生の不覚です!!」
放り出され後悔を嘆く葵の隣でカラカラと笑う山崎
葵は自分の顔を手で覆いながら、井戸で顔を洗い…洗い終えた顔をパン!と叩いた後山崎の方へと向き直る
葵「悔しいですが、私の負けです。私の叶えられる範囲であれば善処します」
「素直やなぁ、ほんなら考えとくけど〜」
葵「負けは負けです、次は勝ちます!後、叶えられる範囲ですからね!」
ビシッと、指をさしそう言った葵は悔しそうな顔をしながら此方に背を向け去っていく
叶えられる範囲で、なぁ
「…簡単そうで難しいことを言う」
ポツリと小さく、そう呟いた頃には葵の姿は既にない
山崎は意味深な顔をしながら息を吐き、その場から姿を消した
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