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申し訳ない顔をするわけでも、笑うわけでもなく、ただ女子を見つめていれば…喜一は小さく私の裾を掴んできた
何を考えたのかはわかりませんが、私は大丈夫ですよ
「お前!いい加減にしろ!!…本当にありがとうございました。俺たちゃこれで失礼します」
喜「あ、え…っと…」
「本当ありがとうございました」
まだ何か言いたげな女子に制止をかけた男は、私たちに頭を下げて行こうとする
喜一は何やら言葉を詰めていましたが…結局何も言いませんでした
葵「喜一、帰りますよ」
喜「あ…う、ん」
こちらを見ている女子を見送っていた喜一は、声をかければすぐさま反応を見せた
聞きたいことは後でも答えましょう
「……人で無し…っ…」
喜「っ…!」
喜一の背を押して歩き出した直後、そんな声が耳に入った
好きなように言えばいい、それを否定する権利は…私にはありませんからね
まあ……私はいいんだけど
喜「…っなんで…?」
葵「帰るんです。家はそっちじゃないですよ」
喜「っ…だ、だって!」
葵「喜一」
その声を聞いたと同時に…再度二人の方は体を向けた喜一の腕を掴みます。
納得いかないと、そんな顔をしている喜一の名を呼べば…彼は俯いたまま、私の手を握った
喜一が気にする必要はこれっぽっちもない、何故なら君は歴として彼女たちを救ったのだから
あの言葉は、私に向けたものなのだから
葵「喜一、こんなところを子供達に見られたら笑われてしまいますよ?」
喜「……葵は笑う?」
葵「…ははっ!笑いませんよ」
喜「わ、笑ってんじゃんか!!!」
考えてみれば、喜一と手を繋いだのは初めてでしたね?
顔を真っ赤にしながらも、私の手を離さず…結局家まで繋いだままの喜一は、小さい手で私の手を強く握っていました。
というか、喜一にはまず説教でしたね
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