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何も言わない私を見かねた彼女は、その顔に笑みを浮かべながら私の顔を覗き込んできた
「とっても素敵な考えやと思うけど、私やお兄さんにはもう無理な話やろ?なら、この際先に進むしか…っ!」
葵「おや、避けましたか」
ニッコリとした笑みで私に手を伸ばしてきた彼女に対し、手に持っていた湯飲みの破片を彼女目掛けて投げる
紙一重で避けた彼女は距離を置き、その目を大きく開きながら私を見ています
「…今のは、当てるつもりやったなぁ?」
葵「ええ、当たらなくて驚きました」
「へぇ、それが答えなんやね」
口元に弧を描きつつ目が笑っていない彼女と同様に、私も笑みを浮かべてみる
それが答え、その通りだ
確かに、もう元に戻れるとは思っていないけれど…今から変わることだって出来ないわけじゃない
この先もこの手を染めていくだろうけれど…それ以外の道だって、自分で見て決めていきたいんです
葵「ご忠告はありがたく受け取りますが、私の行く道を勝手に決めないでいただきたい。それが、私の答えです」
「…思ってたより、強情なんやなぁ」
葵「褒め言葉としていただきます」
私の意見を聞いた彼女は、なんともつまらなそうな顔をしながら背を向ける
なんとなく、また何処かでお会いするような気もしますが…きっとその時も、私達の関係は変わらないんでしょう
「まぁ、気が変わったらいつでも待っとるで?お兄さん美丈夫やし、大歓迎や」
葵「……それはどうも」
それだけ言い残した彼女は、風とともにその姿を消しました。
結局暗殺者なのか、忍?なのかわからなかったけど……一つだけ言える
葵「ほんっっきで私のこと男と間違えやがりましたね」
根に持つぞ、どこまでも
結構な手練れ感あったよね?しかも何回か触れられてるんですよ?
それでも見抜けないって何事?
この世界じゃ美丈夫ですね!で片付けられちゃうの?
葵「……今更ですけども…」
「葵ー!!!飯できたぞー!!!」
葵「はーい!すぐいきまーす!!」
夜ご飯だやった!!!お腹空いてたんだよね!!!
根に持つと言ったが、瞬時に忘れた私である
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