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結局その後、彼女と顔を合わす機会もなく…なんとも平穏な日常を送ってます
今日は、龍之介さんの代わりにお雪の店の用心棒をする日
葵「…ていうか、会わないな」
雪「ん?どうしたん?」
葵「あ、いえ。こちらの話です」
ポツリと呟いた独り言をお雪に書かれてしまいました。不思議そうに首を傾げるお雪を軽く撫でつつ、私は店の前の椅子に座る
ほら、会わないって、アレですよ
新撰組
葵「同じ土地…というか、近くにいるのにこうも会わないものなんですねぇ」
来た当初はうわー!あわよくば会えるじゃん!すごーい!!あいたーい!!の気持ちだったんですが
話に聞く態度で全く会えやしない
聞いていたよりも治安がいいからか?にしては不逞浪士が多い気もするが…まあいい
葵「いずれあえれば、いいでしょう」
絶対に会えないわけじゃないし、一度お目にかからればいい。その程度である。
彼女の一件以来平穏が保たれた生活を送りつつ…お雪が置いていったお団子をもふりと口に含む
お茶が美味しい
葵「は~…平和……ん?」
心からの平和を実感しつつ、今日の夕餉を何にしようか考えていれば…かなり遠くから名前を呼ばれた気がした
気のせいですかね?
葵ー…!!!
あ、気のせいじゃないな
確かに聞こえたその声に目を向ければ、いつもともに稽古に勤しんでいる少年…小太郎か?
葵「あ、小太郎だ」
徐々に近づいてくるその顔を見て、小太郎だと理解した私は立ち上がり…慌てた様子の小太郎に歩み寄る
葵「どうなさいましたか?そんなに急いで…」
「ハッ…!あお、ェホッ…!!」
葵「落ち着いて、これを飲みなさい」
「、んっ…」
慌てた様子に何かあったのかと理解できるが、本気で急いでいたらしい彼は…差し出したお茶を勢いよく飲み干した
顔色が悪いし…どうしたんだ本当
肩で息をする小太郎の背を摩れば、小太郎は私の手を勢いよく掴み…焦った表情のままで口を開いた
「っ…み、なで…あそん、でたら……!変な奴らが、喜一を…!!」
キツそうな顔でそう言いながら、それでも必死に私にその事情を語り出した
そして私は…その言葉を聞いて、すぐさまその場を離れた
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