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小太郎をお店に預け、すぐさま伝えられた場所へと向かう
何もしなければ絡まれることもないはずであり、何かあれば…今度は逃げろとしっかり教えている
強くなりたいと言いはしたが、私との約束を…そう簡単に破ったりするような子じゃないことを、私が一番知っている
葵「っは…!どこだ、くそ!!!」
柄にもなく焦ってしまうのは、この間のことを思い出すからだ
私は当然だが…あの場にいた不逞浪士達ならば喜一の顔を覚えているはずで、私は奴らを生かしたまま…野放しにしてしまっていた。
そらがどれほど浅はかで…危険な行為かを、私は忘れてしまっていたんだ
葵「っ…喜一!!!どこだ!!!」
小太郎が言っていた場所まで来てみて、見当たらない喜一の名を叫ぶ
もちろん返事など帰ってくるはずもなく…ただ、その場にいた人々の視線のみが向けられる
だめだ、集中できない
見当たらない喜一を探すように辺りを見渡し続ける私は、近くを虱潰しに探すしかないと足を動かそうとした
「なあ、さっきのやばくねぇか?」
「ンなこと言ったって、あいつら最近ここらで暴れてる奴らだろ?何もできやしねぇよ」
ピタリと、その足が止まる
すぐ近くから聞こえて来たその声に目を向け、即座にその声を漏らした主達の元へと向かった私は…一人の男の肩を掴んだ
「お、わ!?なん、なんでい!?」
葵「その話、もしかして大の大人が子供相手に手を上げているとか…そんな内容?それなら、場所を教えてほしい」
「は?た、確かに…そうだが……」
葵「場所を教えてください」
突然掴まれた男は驚いた様子で私を見たが、戸惑いながらもその話を聞かせてくれた
なんでも、複数の大人達に…子供一人が乱暴をされているという話で
「なんか、誰かを連れてこいみたいな話をしてたぞ。俺たちが見たときは向かいの大通りだったが…っおい!?」
それだけ聞いた私は、礼を言うことすらできないままその場から走り出した
誰かを、連れてこいだ?
私のことを言っているのか?
葵「…っ喜一…!」
もし、そんな理由で喜一がひどい目に合うと言うならば……私は、どうすればいい
これは、私のせいだ
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