天職ですな?

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いつまでもぐちぐちと、子供のように臍を曲げる葵に一喝入れれば…葵は石のように動きを止めた 臍を曲がりで、強情で、酷く臆病者な葵を始めて見た俺は…何故か抱きしめるような形になっている ……思った以上に、細い体だ 龍「何をそんなに怖がってるかなんてしらねぇが、らしくないぞ。自分の事に無頓着なのはわかるが、俺の方がお前をよく見れてる」 葵「………」 龍「冷静で頭が良くて、力もある。それでいて人を思いやる気持ちがあるからこそ俺はお前に頼んで……葵?」 葵「………」 想像以上に細く小さな体を抱きしめながら、何かを隠そうとする葵に問いかけていれば…葵は何故か無言になった …怒りすぎたか? 龍「…や、悪かった。俺も言い過ぎ…どえええええ!?ちょ、あおっ…何で泣いてんだ!?!!?」 葵「……」 龍「声ぐらいだせよ!!わかんないだろう!?うわ、ちょ…ええ?泣くな、泣くな…!!」 ポロポロポロポロ 静かすぎる葵を見かねて体を離せば、無言で涙のみを流す姿が目に入り焦ってしまった龍之介 無言で尚且つ無表情、それに微動だにしない葵をひたすら励まし続ける 葵はただ、嬉しかっただけで 強くなりたくて、褒めて欲しくて、だからたくさん努力をしたし…幼い頃から殺しという戦場に足を踏み入れていた でも、かえってきたのは…才能があるの一言だけで。 努力は、きっと才能があるからという言葉でかき消されてしまうんだと…幼い頃に体に刻んでいた 龍「悪かった、本当に言いすぎたな。俺も大人気なかったからもう……葵?」 葵「……何でもないです」 私の頭をポンポンと撫でる龍之介さんに手を伸ばし、その腕にすがりつくように目を伏せる 結局私は、認めてもらえない事を拗ねて…本当に臍を曲げていただけなのかもしれないと、恥ずかしくなった 誰かに褒めて欲しいと思っていた自分にすら、気づくことができなかったんだ
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