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ずっと恐れていた事が、とうとう現実になってしまうなんて……。
悪い方向にばかり考えてしまった僕は、その夜はあまり眠れませんでした。
☆☆☆☆
淕さんと約束を交わした今日は日曜日。天気は快晴。
それなのに……僕の心は曇っていた。
いやっ、もう曇りを通り越して、ザーザーと雨が降っているのかもしれません。
その訳は……昨日から悩み続けた、淕さんとの別れ話が実現になるかもしれないからです。
いつも、僕を幸せな気持ちにさせてくれる淕さん。
でも、今日に限っては……淕さんに会うのが、怖くて仕方ありません。
一歩足を進める度、その事ばかりを考えてしまい、いつもは短く感じる淕さんの家の道のりが……今は長く感じられます。
しかし、そう思うのは気分だけで……実際、時間にしてみれば、淕さんに言われてた時間よりも、少し早めに着いてしまっていました。
色んな思いが交差する中、一度深呼吸をした後、呼び鈴に手を伸ばして鳴らす。
――ピーンポーン
『はーいっ。若葉です』
すると、直ぐにインターフォンから、淕さんの声が聞えてきました。
一瞬、それに対して声が出なかった僕ですが、一度咳払いをしてから口を開きました。
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