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「誰だよ、嫌がらせか? こっちは忙しいのに……」
しかし、僕が声を発するより先に玄関のドアが開き、文句を言いながら淕さんが出てきてしまいました。
「えっ……?」
「あっ……こ、こ、香坂……!」
一瞬僕は、自分の目を疑いそうになりました。
というのも……僕の目の前には、エプロンを身につけた淕さんが、居るのですから。
「りっ……淕さん?」
「あっ……あのっ、これは……こ、香坂が来る前に掃除でもしようと思って。ふ、服……汚れると困るだろ? だから、近くにあった母さんのエプロンを着て……」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、あたふたとしながら事情を話す淕さん。
それは……出会った日から全く変わらず、相変わらず可愛らしい。
「そ、そうなんですか。行き成りその格好で出てこられたので、ビックリしてしまいました。でも、凄く可愛いですよ」
「ば、バーカ。可愛いなんて言われても、嬉しくない」
「すみません……」
口ではそう言ってた淕さんですが、顔は真っ赤にして照れていたので、喜んでくれてる事は、一目瞭然でした。
しかし、淕さんのコンプレックスを煽ってしまった事には、申し訳なくなって謝りました。
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