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その姿がつい、抱き締めたくなるほど可愛くて……僕は、伸びそうになる手を抑えるのに必死でした。
「はい、どうぞ」
「どうも、すいません」
「あ、そうだ。香坂、オレがいいって言うまで、目を瞑っててくれる?」
「……? 目を、瞑るんですか?」
「うんっ!」
一体、淕さんは何をする気なのでしょう?
凄く気になる所ですが、ここは言われたとおりにしてみようと思い、目を瞑る僕。
「これで、いいんですか?」
「うん。じゃあ、ちょっとそのままで待ってて!」
「はい?」
目を閉じてる僕は、何も見えてないのですが……淕さんが立ち上がり、一旦部屋から出ていったのは感じました。
――何が、起こるんでしょうか?
一人きりになった僕は、呆然と考えていました。
――カチャ
暫くしてから淕さんが戻ってきたようで、ドアを軽く閉める音が聞えてきました。
――カタンッ
――パチッ
今度は何かを机に置いた音……そして、部屋の電気を消した音が、僕の耳に聞えました。
一体、淕さんは何を始める気なのでしょうか?
全く見当が付かず、僕の頭には疑問符が浮かぶばかり。
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