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淕さんの耳元でそっと囁けば、詰まりながらも告げてくる淕さん。
俯いてる淕さんの耳は、既に真っ赤に染まってしまってて……僕は、そんな反応の一つ一つが楽しくて……そして、嬉しくなってしまう。
「ひゃっ……もう、香坂……」
「降ろして、欲しいですか? 淕さん」
「あ、あの……」
身体を密着させてる所為か、淕さんの鼓動が直に感じ取れる。
それは、僕が抱き締める力を強め、耳元で囁く度に速くなる。
「嫌でしたら……しょうがないですね……」
けれど、困ってる淕さんを無視する訳にもいかなくて、僕は抱き締めてた腕を緩めた。
そして、自分の膝から淕さんを降ろそうとした。
あっさりそうしたのは、このまま淕さんと密着していると、僕自身も抑えが聞かなくなりそうだったから……。
「あ、待って」
だけど、急に淕さんが僕の腕を掴んで制止させた。
「嫌じゃ……ない」
その後に、聞き逃してしまいそうな位の小さな声で、そっと漏らした。
「嫌なんかじゃ……ない。ただ……ちょっと、恥ずかしいだけ……だから……」
「淕さん……」
僕からは見えないけど淕さんはきっと、顔を真っ赤にして言ったに違いないでしょう。
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