若葉の温度

13/29

784人が本棚に入れています
本棚に追加
/421ページ
   淕さんの耳元でそっと囁けば、詰まりながらも告げてくる淕さん。 俯いてる淕さんの耳は、既に真っ赤に染まってしまってて……僕は、そんな反応の一つ一つが楽しくて……そして、嬉しくなってしまう。 「ひゃっ……もう、香坂……」 「降ろして、欲しいですか? 淕さん」 「あ、あの……」 身体を密着させてる所為か、淕さんの鼓動が直に感じ取れる。 それは、僕が抱き締める力を強め、耳元で囁く度に速くなる。 「嫌でしたら……しょうがないですね……」 けれど、困ってる淕さんを無視する訳にもいかなくて、僕は抱き締めてた腕を緩めた。 そして、自分の膝から淕さんを降ろそうとした。 あっさりそうしたのは、このまま淕さんと密着していると、僕自身も抑えが聞かなくなりそうだったから……。 「あ、待って」 だけど、急に淕さんが僕の腕を掴んで制止させた。 「嫌じゃ……ない」 その後に、聞き逃してしまいそうな位の小さな声で、そっと漏らした。 「嫌なんかじゃ……ない。ただ……ちょっと、恥ずかしいだけ……だから……」 「淕さん……」 僕からは見えないけど淕さんはきっと、顔を真っ赤にして言ったに違いないでしょう。
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

784人が本棚に入れています
本棚に追加