第3話

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 店内の照明を消してから、 溜息を落として奥の部屋へ行くと、 帰り支度をしている邦久が顔を上げた。 「レジ締めお疲れさん。この後予定は?」 「この後?……何も。帰るだけ…――」  言いかけて言葉を飲み込む。 (今帰ったら、確実にアイツと会う事になるよな…)  帰るかココに留まるか、 未だに迷う二択に眉を下げる。 「維月。何を考えてる?」 「…いや、何も。予定はないけど、少しやることがあるから先に帰ってくれ」 「やることって?」 「仕事に決まってるだろ」 「嘘だな。昼間のことと何か関係してるんじゃないのか」  どうしてこうも簡単に見破られてしまうのか…。 (…ま、久保にも指摘されたしな。邦久に通用するなんて思っちゃいないが…)  俺は緩く息を吐き、小さく肩を落とした。
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