84人が本棚に入れています
本棚に追加
店内の照明を消してから、
溜息を落として奥の部屋へ行くと、
帰り支度をしている邦久が顔を上げた。
「レジ締めお疲れさん。この後予定は?」
「この後?……何も。帰るだけ…――」
言いかけて言葉を飲み込む。
(今帰ったら、確実にアイツと会う事になるよな…)
帰るかココに留まるか、
未だに迷う二択に眉を下げる。
「維月。何を考えてる?」
「…いや、何も。予定はないけど、少しやることがあるから先に帰ってくれ」
「やることって?」
「仕事に決まってるだろ」
「嘘だな。昼間のことと何か関係してるんじゃないのか」
どうしてこうも簡単に見破られてしまうのか…。
(…ま、久保にも指摘されたしな。邦久に通用するなんて思っちゃいないが…)
俺は緩く息を吐き、小さく肩を落とした。
最初のコメントを投稿しよう!