第3話

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(邦久に当たってどうすんだ…俺)  興奮が冷めず、 肩で息をしながらカバンを引っ掴む。 「どこへ行く気だ?」  この場から立ち去ろうとする俺に手を伸ばす邦久。  俺はその手を咄嗟に払い除けた。  邦久の少し驚いた表情。 (なんで、そんな顔……っ)  苛立ちの中に僅かな湧いた罪悪感から、 ポツリと謝罪を零す。 「…悪い…。今日はもう帰る」 「帰るって…、会うつもりなのか?」 「それは……――て、アイツのことはお前には関係ないだろ」  少しキツイ言い方かもしれないが、 今は言葉を選んでいる余裕はない。  睨みまで利かせてやったが、 邦久は至って冷静に言い返してきた。 「関係ないわけないんだよな」 「――は?何言ってんだ…?」
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