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一瞬動きを止めた俺の腕は、
今度こそ邦久の手に捕まってしまう。
ろくに話したことがないはずの恭一郎と、
どう関係があるというのか。
(接点無さ過ぎるだろ)
不満だと言わんばかりに細めた目を向ける。
――が、邦久の絶対に引く事の無い強い視線に
俺の方が気圧されてしまった。
(これは、逃げられねぇか…)
すぐに目を逸らした俺を見て、
逃げるつもりがないと悟ったのか邦久は俺の手をそっと離した。
「あの幼馴染と会うのを躊躇ってるなら、ココじゃなくて俺のところに来ればいい」
「邦久…?」
「俺はお前とは仕事仲間で大事な友人だと思ってるからな。心配くらいさせてくれよ」
そんな寂しそうな声で言われたら、
こっちは何も言えなくなるじゃないか。
「……なんか、ズルイ」
「維月が一人で抱え込もうとするからだ」
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