第3話

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 ふと口元を緩める。 「何もない。気にさせて悪かっ…」 「もしかして!今朝のお客さんが原因ですか…?」 (コイツは何気に鋭いから困る)  一度遮られた言葉はそのままにして、 俺は片付けを済ませると手洗い場の前に立つ。  ハンドソープを掌の上に落とし、泡立てる。 「…それは、仕事には関係の無いことだ。プライベートにあまり首を突っ込むなよ」  本当に追究されたくなくて、 軽く言い聞かせるようにあしらう。 (それより、今日家に来るとか言ってたよな…)  久保と話している間も、 アイツのことが頭に浮かぶ。 (ダメだっ。午後も仕事あるんだから、しっかりしねぇと…!)  泡を水で洗い流しながら眉間に皺を寄せる。 「首突っ込むなって言われても、そんな顔してたらやっぱり気になりますって」
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