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夜、布団に入ってすぐ通知が来たので確認すると、ナナシのスタンプ。
たった1つのそのイラストが意味するものは、車と壁に挟まれダランとして息絶えている自分。
ご丁寧に天に昇る姿も描かれている。
そうか、明日死ぬんだ……今までの人生が走馬灯のように流れていく。
思えば後悔の多い人生だったな。一晩中そんなことを考えていたら、朝を迎えた。
後悔……か……。
……そうだ、どうせ死ぬなら。
バイト先で同じ日に働き始めたあの女の子。その子に告白しよう。
一目惚れなんだ。でも、好きだとは言えず何気ない言葉を交わすだけの日々だった。
想いを抱えたまま、死にたくはない……。
怪我だらけの姿で引かれるだろうけど、構わない。気持ちさえ伝えられればそれでいい。
命があるうちに。今日は確か、早番。大学に行く前にそちらへ向かおう。
わずかな勇気を振り絞り、急ぎ足でアパートを出た。
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