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「……ねぇ、どうしたの? ボーッとして」
あのスタンプが送られて1週間後。
「あ、いや、別に……」
俺はバイトに精を出していた。時々上の空になりながらも。
結局あの日は何も起きずに終わった。予知は、外れたのだ。
勇気を振り絞った告白は成功し、交際もスタート。怪我だらけの姿は、逆に心配された程。
もう、毎日が楽しくて仕方ない。
ちなみに、いつもの通学ルートでは居眠り運転の車が単独事故を起こしていたらしい。
もしそっちへ行ってたら……きっと自分はここにはいない。そう考えるとゾッとする。
少しの勇気が運命を変えたのでは、と思う。
そして、ナナシからのスタンプは一切来なくなった。アカウントも履歴も、気付いたら全て消滅。
あの日々は何だったんだろう。リアルな悪夢か。
出来れば、勘弁願いたいところだ。
遠く離れた知らない場所。謎の通知が届く。
「あれ、何だこれは……」
ナナシのスタンプ爆撃には、ご用心を。
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