35 箱

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テラスで1人、塀に凭れるイチ 「コウタさん?」 「…え?あ、悪い」 俺はメンバーに呼ばれて視線を戻した …イチ、ご飯食べてないよな 「じゃあ、今日はカラオケに行きますか」 隣で試験結果そっちの気で話すメンバーに苦笑する 「なんすか?」 「いや…お前らって悩みとかないのかなって思っただけ」 いつもニコニコしてるメンバーたち 最近イチが笑ったのを見ていない気がする 「俺だって悩みくらいありますよ…」 「例えば?」 「それはですね、彼女が最近素っ気ないとか?」 天井を見つめたメンバーは笑顔で俺の方に振り向いた 「それ何番目の彼女だよ」 「絶対俺の方が悩みがデカいなっ」 それから悩み自慢にテンションを上げるメンバー 「そういえばリツヤさんは?」 「…また彼女のとこだろ」 最近リツヤは俺たちといるよりも彼女といることが増えた 「なんか言ってましたよね…彼女が怪我したから見舞いに来いってうるさいとか」 「ただのノロケだよな」 話の内容が自分たちの彼女自慢に変わったメンバーを置いて俺はテラスに向かった ドアを開ければイチはゆっくり瞼を持ち上げる 「…コウタ」 俺を確認したイチは再び瞼を閉じた
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