35 箱

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「…大丈夫か?」 「平気…」 コウタに微笑んで俺たちは結果が貼り出された廊下へ向かった コウタの横に立って試験結果を見つめる 教科ごとに貼り出された紙には不合格者のクラスと番号が書かれていた 全ての教科に目を通す よかった…不合格の教科はなかった 安堵して横をチラリと見る 「…コウタ?」 コウタは1枚の紙を見つめて固まっていた 「俺…」 俺の方を向いたコウタは震える指で紙を指差した 「ダメだった?」 「ううん…合格してた!絶対駄目だと思ってたのにっ」 紙に視線を移したコウタはニヤケながらケータイを取り出した 「リツヤに言ってやろ…アイツ俺が絶対合格しないとか言いやがったんだぜ」 「良かったね…」 俺も連絡しなきゃ… 「コウタ…俺帰るね」 「俺たちこれからカラオケ行くんだけど、イチも行かない?」 にこやかに聞いてくるコウタを見つめながら首を横に振る 「今日は遠慮しとく…帰って寝たい」 眉を下げてコウタを見れればコウタは微笑みなから頷いた 「じゃあ寮まで一緒に帰ろうぜ…カラオケは着替えてから行く事にする」 「わかった…帰ろ」 そのまま俺はコウタと生徒玄関に向かった ―ガチャ 「…?」
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