35 箱

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俺の下駄箱にラッピングされた箱が入っていた 「…何これ?」 箱を見つめていればコウタがそれを取り出した 「また…嫌がらせかな」 「…どうだろ」 コウタは箱を振ったり耳をつけたりして中身を確認しようとした 「イチ…開けても良いか?」 コウタを見ながら頷けばコウタは手際良くラッピングを剥がして箱を開けた 「…ボール?」 中に入れられていたのは古びた小さなボール 「イチ、見覚えあるか?」 「ない…なんなんだろ」 ひとまずそのボールは持って帰ることにした コウタは帰宅途中、ずっとそのボールを蹴って遊んでいた 「じゃあ、行ってくるね」 「行ってらっしゃい」 部屋を出て行ったコウタからケータイに視線を移す 山野井先生の電話番号を選んで通話ボタンを押した 呼び出し音が続く 「仕事中かな…」 俺はケータイを切って自分の部屋に入る 夕飯時まで待っても先生からの連絡は来なかった 冷蔵庫に入れておいたサンドイッチを取り出して頬張った なんとか完食して薬を取り出す 冷蔵庫の中にあったコップに入れられた水で薬を流し込んだ 「?…まぁいいか…」 ソファに座って俺はいつの間にか眠ってしまった
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