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俺、遠野維智(とおのいち)は早朝から学園の前にいる
「ふぁ~…ねみ……」
肩に着くくらいの金髪を風で靡かせて両手を伸ばしながら今日から通う学園、仁矢高校(にしこうこう)の教師用玄関から入る
自分の下駄箱とかわかんないしね
来客用のスリッパを出してパカパカ言わせて廊下を歩く
俺がなんでこの学校にいるかと言うと、まぁ、4ヶ月前の話なんだけど…
俺の家は母一人子一人の所謂母子家庭だ
ある日俺が学校から帰ってくると…まぁ本当は学校行かないで遊んでたんだけど…見た事のない男の靴が玄関に置かれてた
居間に入ると母さんが食卓テーブルを挟んで知らない男と仲良く話してた
『あ、イチお帰り』
『…だれ?』
俺はドアの前で突っ立ったまま男を睨みつけた
この家に今まで知らない人間が居る所なんて見たことがなかった
『はじめまして維智君、遠野武志です』
男が立ち上がって俺に握手を求めてきた
見た感じ母さんよりも10歳くらい年上で渋い感じの男
男の向こう側から母さんがにこやかこの状況を見てた
仕方なく手を出すとおっきな手が俺の手を包んだ
きっと父親ってこんなんだろうな…
なんて漠然と考えていれば母さんから思いもよらない言葉が飛んできた
『私結婚するの』
『……は!?』
そして次の月から3人で暮らすことになった
母さんの結婚相手、武志さんはすごく優しくて男らしくて、直ぐに打ち解けられた
そしてある日
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