36 口づけ

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俺の体をペタペタ触りだしたイチは不思議そうに俺を見つめた 「昨日…何かあった?」 「イチに服を脱がされた」 「うそ…え?」 「クスクスッ…本当。イチは水と間違えて酒を飲んだ…で、意識をぶっ飛ばした」 俺の話を聞いたイチは頭を押さえながら溜め息を吐いた 「ごめん…」 「いいよ…面白かったし」 目を細めて見つめればイチは不機嫌顔で俺を見た 「クスッ…朝ご飯食べに行こ」 「…いらない」 ベッド顔を埋めるイチの髪を解かす 「少しくらい食べなきゃ…倒れるぞ」 「大丈夫…」 俺の方を向いたイチは目を細めて見つめてきた 「食べてきていいよ」 「…イチが行かないなら俺も行かない」 イチの体を抱き寄せればイチは抵抗せずに受け入れ、俺の背中に腕を回した 「…気持ち悪くない」 「うん…良かった」 「気持ち…悪くない…」 俺の胸元に顔を埋めるイチの声色が変わった 「…どうした?」 「なんでもない…」 胸元に濡れた感覚がした 「イチ…」 体を離そうとするがイチは頑なに離さない 「なぁ…イチの泣き顔はもう見てるから…隠すなよ」 「っ…」 「ほら…イチ」 躊躇しながら顔を上げたイチは目に涙を浮かべていた 「っ…怖い…」
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