36 口づけ

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「ごめん…怖いっ」 イチは体を起こして俺と距離を取る 「ほんと…っごめん…」 「…」 起き上がって俯くイチの頭に触れる それでもイチは肩を震わせた 「イチ…こっち見て」 髪を解かしながら距離を詰める ベッドが軋むだけでも体を強ばらせるイチはゆっくり顔を上げた 「…っごめん」 「大丈夫…イチは悪くない」 目を泳がせるイチの頬に触れれば怖々と見つめてきた 「だから…少しだけ我慢して」 「っ!コウタっ!」 腕を引っ張ってイチの体を抱き締めた 「っやだ!コウタ!!」 抵抗するイチの頭を撫で耳元に口を持って行く 「大丈夫…何もしない…ゆっくり息吐いて」 背中を撫でて促せばイチは震えながら息を吐いた 「…そう…大丈夫…もう1回」 暫くしてイチは俺の背中に手を回す 「…大丈夫?」 「っはぁ…多分…ありがと」 眉を下げて見つめるイチの髪を解かして額に口付けた 「…何もしないって言った」 「そうだね…何もない…」 そのまま頬にキスを落とす 「…怖くない?」 「っ怖くない…けど」 俺の口をイチは手で塞いだ 「こんなの…おかしい」 まっすぐ見つめてくるイチの手にキスをした 「っコウタ」 「おかしくない」
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