36 口づけ

5/9
前へ
/504ページ
次へ
コウタはまっすぐ俺を見ながら呟いた 「…おかしくない」 「っおかしいよ…男同士でこんなっ…コウタっ」 手を掴まれてそのまま抱き寄せられる コウタは再び額にキスをした 「おかしくない…だから…」 真剣な顔でコウタは頬に触れた 「…キスしたい」 「っしてるじゃん…」 顔を逸らせばコウタに戻される 「ちゃんと…キスしたい…駄目か?」 「ダメ…とかじゃなくて」 こんなの…おかしい 「俺が…嫌い?」 「っそんなの…嫌いなわけないっ」 コウタはまっすぐ俺を見つめた 「…駄目?」 「だって…おかしいよ」 「おかしくない…ただ唇が触れるだけ、それだけ…駄目?」 眉を下げながら見つめてくるコウタ その目がとても寂しそうに俺を見つめる 「っその目…ずるい」 視界が揺らぐ 「クスッ…ごめん…」 瞼を閉じればコウタの吐息がかかった そのまま唇が触れる 「…ほら、おかしくない」 「…」 「どうした?」 不思議そうに見つめるコウタ だって… 「クスッ…イチ」 笑ったコウタは耳元にキスをした 「…物足りないって顔してる」 「なっ!違っ!」
/504ページ

最初のコメントを投稿しよう!

596人が本棚に入れています
本棚に追加