36 口づけ

7/9
前へ
/504ページ
次へ
「っ泣くな…」 涙を拭って目を見つめる イチは眉を下げながら俺を見た 「ごめんね」 「謝んなくていい…けど…誰と約束したんだ?」 「…え?…誰と?」 イチは首を傾げながら聞き返した 「や、俺に聞かれてもわかんないし」 「そう…だよね」 視線をずらしたイチは眉間に皺を寄せて考える 「誰だろ…また…覚えてないのか…」 「イチ?何かあったの?」 「えっと…後で話す」 体を離したイチはベッドから降りて服を拾った 「コウタ」 「何?」 口角を上げたイチは部屋のドアを開ける 「早く朝ご飯食べに行かないと遅刻するよ」 「っ行く!すぐ行く!」 急いでベッドから降りて服を拾い上げると イチと俺は部屋を出て食堂に向かった 「イチ何食べる?」 「あぁ…軽いものなら食べれる」 隣を歩くイチの頭を撫でて階段を降りる 「…ぁ」 食堂前でイチは足を止めた 「イチ?」 イチの視線の先を見つめる ケータイをいじるリツヤがこちらを向いた 「リツヤおはよ」 「あぁ…2人で飯か」 口角を上げて近づいてきたリツヤはイチから俺に視線を移した 「コウタ気をつけろよ…コイツ人の気持ちを弄ぶのが趣味らしい…なぁ、遠野」
/504ページ

最初のコメントを投稿しよう!

596人が本棚に入れています
本棚に追加