36 口づけ

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本木の視線が痛い でも、目を逸らしちゃダメだ 「お前…今度はコウタか?」 「…っ」 目頭が熱くなった ゆっくり息を吐いて笑顔を作る 「コウタ、俺やっぱ部屋戻るね」 本木を見つめたまま言って踵を返す 「イチ…待って」 その腕を掴まれた 「おいで」 コウタの手から力が抜けた そのまま無言でコウタは俺を待つ 「っ…」 振り返ればコウタは微笑みながら俺を見ていた 「ほら…」 手招きするコウタの横に立てば頭を撫でられた 「…リツヤ」 俺から本木へと視線を移したコウタは目を細めた 「もう…イチに触らないでもらえる?」 俺の方を向いたコウタは微笑みながら顔を近づけた そのまま俺の頬に口付ける 「クスッ…また物足りないって顔してる」 「っコウタ」 俺の髪を解かしながらコウタは本木を見つめる 「そういう事だから…行こ」 俺の腕を掴んだコウタはそのまま食堂へ入った 「イチ…ごめん」 「ううん、ありがと」 眉を下げて見つめてくるコウタに微笑めば頭を撫でられた 「さて…ご飯食べよ」 微笑むコウタに心が軽くなった
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