01 転入

3/12
前へ
/504ページ
次へ
武志さんが人事異動で転勤することになったらしい もちろん母さんは転勤先に付いていくと言い出した まぁそれは良いとして、次に発した言葉に俺は固まった 『イチは来月からこの学校行ってね』 『…は?ちょっ!聞いてねぇし!!』 テーブルに置かれた学校のパンフレットをバンっと叩く 『ここね大和(やまと)君が教師やってるの』 『ヤマト?』 『あら!言ってなかったっけ?』 母さんは大袈裟にリアクションして武志さんを見つめる 『ヤマトは俺の息子…イチのお兄さんになる人だよ』 『イチを一人置いてくのは不安だけど、ヤマト君に任せれば安心ね』 『この学校ここから遠いじゃん』 『大丈夫!全寮制だから来年から寮暮らしよ』 って感じで俺はこの仁矢高校に通うことになったワケ で、いつの間にか職員室の前にたどり着いた ノックをしないでドアを開けると教師が2、3人いた その教師全員の目が俺を見つめてる まぁ金髪だから目立つよな… 「イチ」 「…ぇ?」 いきなり下の名前で呼ばれて声の主を探すと長身の男が近づいてきた 黒い髪を後ろに撫でつけて銀縁の眼鏡をかけてる なんか目元が武志さんに似てる気がした 「えっと…ヤマト?」 「学校では遠野先生と呼びなさい。こっち」 「え?おい!」 いきなり腕を引っ張られ職員室の奥の部屋に連れて行かれた 入る寸前に見えたプレートには『指導室』って書いてあった
/504ページ

最初のコメントを投稿しよう!

596人が本棚に入れています
本棚に追加