迷惑、タンジョウ

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目が開かず、朧気に周りの音に耳を傾け、 自分の抑えきれない空腹を感情のままに叫ぶ。 おいしいくて、あたたかいのみもの、どこ。 一人暗闇を彷徨う。 すると、毛に覆われた温かい壁に体が触れる。 このぬくもりに包まれると、なんとも言えないような 安心感が満ちる。 母親の腹に到達し、乳の出処を探す。 見つけたら、待ちに待った食事である。 まだ小さな手で腹を揉み、出を良くする。 もっとほしい、もっと、と言わんばかりに。 腹が満たされればすぐに襲ってくる眠気。 暗闇のそのまた深い底へと沈む。 大体はこの繰り返しであった。 しかし、今日は何故か、違う予感がした。 目のあたりがむず痒い。 その痒さと格闘していると、 ゆっくりと瞼が持ち上げられた。 わたしが生まれて初めて見たのは、母の顔であった。 ふてぶてしい顔、しかしどこか逞しさと優しさがある。 これがわたしの母。予想とは少し違ったが、 それでも幸福感は変わらなかった。
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