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子猫の成長とは目まぐるしいもので、
目が開いたと思えば、今度はなかなか立派に歩くことができる。
時折ぽてりと転びながらも、母の周りを走り回った。
そして気づいたことがある。
ここは室内なのだ。
外が雨で濡れていても私達は濡れることはないし、
透明な壁で区切られている。
加えて、私達とは別の生き物がいる。
とても、とても大きな二足歩行の生き物。
母によるとあれは「ヒト」と言うらしい。
私達のそばへ屈んだと思えば、
その体の一部を伸ばし、私達の頭などを触ってくる。
なかなかに心地が良い。
ヒトという生き物は、良い生き物だと学んだ。
わたしは、母の周りに加えてヒトの周りを走り回った。
そしてその頃には母の乳から巣立つ頃合いになってきていた。
ヒトは母の食事の隣に、別のものを用意し始めた。
その隣に私を近づけ、目を輝かせてこちらを見ている。
私はそれの匂いを嗅ぐ。
それが何かはわからないが、無性に腹を刺激する。
母は自分の食事の合間に、ちらりとこちらを見るだけである。
恐る恐る、一口。
いける。母の乳ほどにいける。
私は夢中になって食べた。
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