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若いお兄さんの気まぐれ話は少しだけ気持ちが踊らされてわくわくしていた、そんなことが無駄なことだと思っていたから。バスが来たらまた他人に戻って、もう話した内容すら忘れるんだろう。その時だった、今さっきまで元気に話ししていた男の子がこくん、こくんと眠ってしまった。細くて柔らかそうな髪の毛にきらきらしていて夕日みたいな輝きのある茶髪で、少しだけ雨粒が髪の毛に残っていた。(風邪ひいちゃう)とっさに鞄からタオルを出して男の子の髪の毛を拭いてあげた。なんだか男の子の優しさに、涙がこぼれた。もうだめだ、この場にいたらこの男の子のことを知りたくなる、そう思ったらとっさに鞄をもってベンチから立ち上がろうとしたその瞬間「なんで?一緒に虹見てくれなきゃ本当に僕お姉さんにウソつくみたいじゃないですか」とっさに寝ていた彼が起きた。 僕が目を閉じたら彼女は愛しそうに僕の濡れた髪の毛を拭いてくれていた、心地の良い優しい触り方で僕は気持ちの奥底から芽生えた気持ちに気づいてしまった。なのに、また彼女は泣きだすんだ、それにそっとこの場からいなくなろうとするから僕は自分の気持ちを少しずつ雨粒に乗せるように話し始めていた。「お姉さん、図書館の人でしょ?僕はお姉さんが寄ってくれたカフェで働いてる雨宮です。」あぁと泣きっ面の彼女が答える。「私の事知ってたんですね、宇川です」二人でかしこまったような会話するからおかしくて吹き出してしまった。「ここにいると迷惑だったら僕が歩いて帰るので、宇川さんはここにいてください。」そう問いかけた。
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