朝が来た。

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しばらくして誰かが歩き回る音が牢獄に響いた。 恐らくこの時間帯ならば朝食の配布のためだろう。 しかし俺は警戒を緩めたりなどしない。 鼻をひくつかせてあたりの臭いに注意を配り、歯を剥き出しにして唸った。 その様子を見て妹は体をビクリと震わせると部屋の隅に体育座りで縮こまる。 なるべく監獄の廊下を見ようと俺は入り口に近づいたが、両手両足に重く頑丈な鎖をつけられてそれが俺が移動することのできる距離を大幅に狭めた。
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