第1章

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次に目覚めた時には 見知らぬメガネ顔と視線が合った。 「杉下さん?杉下祐実さん!わかりますか?」 『……スギシタ、ユミ?……ワタシ!?……アナタ、ダレ?』 「大丈夫ですか?ここは病院ですから安心してください」 わたしはゆっくり頷いた。 入れ替わり立ち替わりいろんな人がやって来ては、似たような質問を繰り返した。 わたしはそれらの質問には何一つ答えられない。 ワカラナイ……。 ワカラナイ! 連日の検査。 の結果、 記憶喪失プラス 軽い失語症……?と診断された。 「ですが、一過性(心因性)のものと思われますから、少しずつ記憶が戻る可能性もあります」 医師の声を 遠くに聞きながら 不安が心を支配する。 ワタシ ドウナルノダロウ……!? 何が起きたのかは 連日のニュースで知った。 次々と余震が 大きな波が 得体の知れない 不安が! 神経が高ぶり眠れない 夜が恐くて、多量の薬も信じられなくて……。 ダレカ タスケテ……。 タスケテー!!
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