第5話 動き始めた暗雲

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「ほんと。死んでくれてたらいいのになぁ~。あの男」 アサミが面倒くさそうにつぶやいて、孝也の手の中のブルーの携帯に、濁った目を向けた。 部屋に充満する乾燥大麻の煙が、その空間も、3人の精神も体も、更に濁らせて歪めて行く。 時折メールを受信するその青い携帯だけが、捕らわれた小動物のように健全な世界へ返して欲しいと無言で抗議し、彼らの手の中で震えた。         ◇
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