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episode183 A Shameless Maid
それから
幾日か経った頃。
「すっかり調子が良くなったみたいだね」
朝の席に現れた九条さんが
フルーツトマトを齧る僕の顔を見るなり
嬉しそうにそう言った。
「ええ。おかげさまで――」
嘘じゃない。
僕は目に見えて元気になっていた。
「本当に。だいぶ顔色が良くなられて」
「泣くほどのことじゃないさ」
「いいえ!一時はどうなるかと」
老執事は目元を潤ませながらも
語気を荒げて僕を睨んだ。
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