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竜は、
「まこさん、いいよもう。後で迎えに来てくれたら。」
「はい、じゃあ後で迎えに来ます。」
まこが慌てて出て行くのを見て、竜はおかしくて吹き出してしまった。弥生は面白く無さそうに、
「なぁに、あの子。」
…そして思い出したように、
「私、ジュース買って来るね!」
と、言って慌てて出て行った。
弥生は慌てて走って行ってまこを呼び止めた。
「ちょっと待ちなさいよっ!」
まこが立ち止まると、弥生はまこに向かって、
「竜から聞いてると思うんだけど、竜はあたしの彼氏なんだからねっ!変な色目使わないでくれる?!」
まこは顔を真っ赤にして、
「色目なんて使っていません!」
「とにかく、必要な時以外は竜に近づかないでっ!それに、後で迎えに来るってなんなの?!」
「午後から、病院を案内する約束をしていたんです。」
まこは、泣きそうになった…。
「ふぅ~ん。いいわ!あたしがするから、竜もその方が嬉しいに決まってるしねっ!あんたみたいなだっさい子、連れて歩きたくないだろうしっ!とりあえず、竜にはあたしっていう彼女がいる事だけは覚えておいてよねっ!」
弥生はそれだけ言うとサッサと竜の病室に戻って行った。まこは、竜の事を、本当に好きになってしまっていた…。彼女がいるなんて考えもしなかった…。
…彼女…いたんだ…。あれだけかっこいいんだから、当然よね…。何で考えなかったんだろう…?すぐ分かってたら、こんなに好きにならなかったかも知れないのに…もぅ…遅いよ…。
まこは堪えきれず涙がポロポロこぼれ落ちてきた…。すぐ、空いている病室に入り込んで、思いっきり泣いた…。
弥生が病室に戻ると竜が、
「あれ?偉い早かったなぁ?」
「えっ!?ああ、あの、えーっと、財布忘れちゃったの!あっ!でもいいわ!なんだか面倒くさくなっちゃった。」
弥生が慌てて言う…。そして、
「ねぇ~。竜。退院したら、今度はちゃんと誕生日祝ってよね。」
「あぁ…暇だったらな。」
「やったぁ~!!」
弥生は飛び跳ねて喜んだ。
「俺、ちょっと寝るから、もぅお前も帰れよ。どうせ昼からここに居ないしさ。」
弥生は首を振りながら、
「竜の寝顔を見てる…。」
竜は赤くなって、
「バカ野郎…お前が居たら寝れないじゃないか…。」
「何言ってるのよ。いつもあたしがいてもぐうぐう寝てたじゃない。」
弥生がクスクス笑いながら言う。
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