信じる

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まこは気が進まなかった。 …今、竜君とどんな顔して会ったらいいんだろぅ…。 まこが病室着くと竜はもう起き上がってベッドに腰を掛けていた。まこを見るなり、照れ臭そうに笑って、 「早く案内してくれよ。」 と、言った。まこは慌てて駆け寄って、 「ダメじゃない!!1人で起き上がったりしちゃあ!!」 「ずっと楽しみにして待ってるのに…来るのがおっせえからだよ…。」 そして、 「…俺さぁ、さっきの奴とは付き合ったりしとねぇから…。変な気回すなよな…。」 竜は下を向きながら耳まで真っ赤にして言う。まこはコックっと小さく頷いた。まこが、 「待ってて、直ぐ車椅子持って来るから!絶対そのまま動かないで下さいねっ!」 と、言って一旦病室を出て直ぐに車椅子を押して来た。そして竜を乗せて車椅子を押しながら病室を出た。 まこが明るい声で、 「どこか行きたい所とかありますか?売店とかもありますよ。」 と、言うと、竜は、 「あのさぁ、俺と一緒に運ばれて来たおっさんがいただろ?あいつに会いたいんだけど…。」 …まこの表情が凍りつく…。 「あっ!そうかっ!もう退院したのか?」 …まこの顔がだんだん青ざめてくる…。 「…違うの…。」 竜が振り向いて、 「えっ?」 まこの青ざめた顔を見て、 「おいっ!なんだよっ!どうしたんだよ!」 竜がまこを揺さぶると、まこは震えながら、 「村田さんは…。」 尚も言葉を詰まらせる…。 「村田って?!おさっんか?!おさっんは村田ってゆうのか?!」 まこがこくりと頷き続けた、 「村田さんは…まだ…意識が戻ってないの…。」 「嘘…だろ…。」 竜が呆然としながら呟く…。 「どこに…?」 竜は声を振り絞った…。 「ICU…。ここの直ぐ側…。」 まこは車椅子を進めた…。竜はゴクリと唾を飲んだ。ICUと書いてある病室には、面会謝絶と書いてある…。 「ここに…?」 まこは真っ直ぐに病室を見ながら頷く…。まこは迷わずICUのドアを開け中へと車椅子を押しながら入って行く…。 ベッドの上に包帯でグルグル巻きにされて点滴などの管を沢山つけた人がいた…。 …本当にこれがあのおっさんかよ…。 竜は恐る恐る手を伸ばす…。
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