信じる

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「…おぃ…。おっさん…。おぃ…ふざけんなよ…。起きろよ…。おいっ!おっさんっ!!」 竜の声がどんどん大きくなって、力一杯村田を揺さぶった!まこは慌てて、「竜君っ!駄目よっ!…大丈夫…。大丈夫だから…。」 竜を押さえる。 「大丈夫って…。何が大丈夫なんだよっ!」 竜はまこの手を振り払って、力無く肩を落とした…。 …俺のせいでこんな事になるなんて…。 竜は一点を見つめたまま動かないでいた…。 「竜君…。戻りますね…。」 車椅子の音だけがカタカタと音を立てていた…。 病室に戻った竜は力無くベッドに腰を下ろす…。目は一点を見つめたまま…。まこも隣に座った…。しばらくして竜が口を開いた…。 「俺が…悪いんだ…。俺が全部…。」 「そんな事ないっ!それに、村田さんは絶対意識を取り戻すよ…。」 「何でそんな事言えるんだよっ!何も知らない癖に!!」 竜はまこの手を掴んでベッドへ押し付けた。まこを睨みつける、そしてまこの唇に唇を重ねた…。まこは震えながら竜の目をしっかりと見て、 そして…そっと目を閉じた…。 「いいよ…。竜君なら…。」 竜の動きが止まる…。 「ごめん…。俺…どうかしてる…。1人にしてくれないか…?」 まこはパッと立ち上がり逃げるようにして病室を出た。 「ちくしょう!俺何やってんだよ…。」 竜は頭を振ると思い詰めた顔をして、もう一度村田の病室へと入って行った…。 包帯に包まれた村田をじっと見る…。 「おっさん…。悪かったなぁ…。こんな目に合わしちまって…。早く戻って来いよ…。俺…おっさんの事だったら…信じられる気がする…。」 竜の目から涙が溢れ出した…。…あれ?俺…泣いてる…?泣いたのは、あの小学三年の時以来だった…。人を信じようと思ったのは…何年ぶりだろう…。 竜は村田を見下ろした…。 その時、村田がかすかに動いた様な気がした。 「おっさん…?おっさん!起きろっ!俺だよっ!竜だよっ!おいっ!目を覚ませっ!俺、おっさんの事信じるよ。一緒に仕事がしたいんだっ!お願いだよ…戻って来てくれ…。」 竜は気づいたら村田の手を握り締めボロボロと泣いていた。こんなに泣いたのは初めてだと思う。村田の手が竜の手を握り返してきた…。少し目を開いた…。 「おっさんっ!おっさんっ!」 竜は叫び続けた!!その騒ぎを聞きつけて看護師が駆けつけてくる!
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