信じる

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次の日、竜は朝早く起きて村田の病室へと向かった。村田は相変わらず包帯に巻かれたまま…静かに眠っていた…。竜が村田の横に腰を下ろして、 「おっさん…。ごめんな…。こんな事になっちまって…。」 静かに鼻をすすりながら話しかける…。誰かが入って来る気配を感じた…。振り返ると、まこが立っていた…。 「竜君…。村田さん、大分落ち着いてきたよ…。」 「そうか…。俺…もぅ、どうしていいか分からなくてさ…。」 「…。」 まこは言葉が出なかった…。 次の日も、又次の日も竜は朝から村田の横にいた。もうすぐ一週間が経とうとしていたある日、竜はいつもの様に村田の所へ向かった…。村田の病室のドアを開ける…。村田が竜を見た…。 「おっさんっ!」 竜は足を引きずりながら村田の側に行く。村田は、 「大丈夫だったか…?」 かすれる声で聞いてきた…。竜は張り詰めていた糸がプツリと切れた様にボロボロと涙をこぼしながら、うんうんと頭を縦に振る事しかできなかった…。 「良かった…。」 村田は静かに目を閉じた…。竜は真っ直ぐに村田を見て、 「俺、おっさんの事信じるよ。俺、おっさんと一緒に仕事がしたい。」 村田は目を閉じたまま、ゆっくりと頷いた…。 次の日、まこがいつもと変わりなく入って来た。 「おはようございます。」 「おはよう。」 竜は何かが吹っ切れた様な清々しい気分になっていた。まこに向かって素直に、 「この前は、本当に悪かった!俺、本当にどうかしてた!」 と、頭を下げた。 「大丈夫ですよ。」 「ごめんな…。」 「謝らなくていいよ。私…。」 まこは言いかけて恥ずかしそうに下を向いた。 「どうしたんだ?」 「竜君の事が好きみたい…。」 「へ???えええええっ!!!」 「もぅ…そんなに驚かないでよ…。」 「驚くだろっ!普通は…。」 まこは真っ赤な顔をしていた。竜はそんなまこを可愛らしいと思った。 相変わらず、毎日弥生が来ていた。何も知らない弥生は相変わらず彼女の様に振舞っていたけど、まこは全く気にしていなかった。 村田はあれから順調に進み、無理矢理早目に退院して行った。退院の日、竜に、 「竜、楽しみに待ってるからな!」 と、言って会社の住所を書いたメモを置いて行った。
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