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竜が家に帰り自分の部屋のドアを開けると弥生が待っていた。弥生は竜を見るなりニッコリと微笑み。 「ちゃお~。」 と、手を挙げる。 「何やってんだよ!又勝手に上がりやがって!」 「竜を待ってたんじゃない~。」 弥生がすねたように言う。 弥生は竜の同級生で、美人だけど気が強く竜に気がある。でも竜はなんとも思っていない。 「ねえ、ねえ、竜ったらぁ~。」 猫なで声で寄ってくる。ヴッ!胸元のかなり開いた服…。こいつ…いつも見えそうな服着てくんだよなぁ…。 「なんだよ、うっせーなぁ!」 竜がつっけんどんに言うと、弥生は余ったるい声で、 「明日、あたしの誕生日なんだよ~~。忘れてないでしょうね~~?」 竜は、別に祝う気もないし、面倒くさかったから「わかった。わかった。」 と、気のない返事をしておいた。そしてそのまま寝た振りをしていた。 「本当?!やったぁ!!じゃあ明日はずう~~と一緒にいてね!約束だからね!」 …あーあ、うっせえ。俺が1回でも約束守った事あるかよ…。 竜はそれ以上返事をしなかった。 「じゃあ明日迎えにくるね!じゃあ、あたし帰るね。ばいば~~い。」 勇次が慌てて玄関まで見送りに行く…そして、 「弥生…送って行くよ。」 「いいわよっ!一人で帰れるから!」 勇次が下を向いて、 「俺…お前の事がまだ好きだから…。」 勇次がポツリと言う…。 「私達が付き合っていた事は絶対に竜には言わないでよ!」 勇次の顔が歪む…。弥生はそんな事お構いなしで、 「じゃあね!!」 つっけんどんと出て行ってしまった…。勇次は弥生が見えなくなるまでそこに立って見送っていた…。 勇次と弥生は以前付き合っていた。誰もがうらやむほどの仲の良さだったが、竜と出会って弥生は変わっていった…。 部屋に戻って勇次は、 「竜、本当に明日、弥生と一緒に居てやるのかよ…。」 「まさかっ!俺がそんな邪魔くせー事するかよ!」 「…。」 勇次は黙り込む…。 「何ならお前が祝ってやれよっ。俺は全く興味ないからな!」 勇次は顔を引きつらせながら、 「それで弥生が喜んでくれるならそうするよ…。」 と、竜には聞こえない様に呟いた…。
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