信じる

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気が付いた時は、病院のベッドの上だった…。全身に痛みが走る。 「いてててててて!!!」 「あら?気付かれました?大丈夫ですか?まだ動かないで下さいね。」 うっすらと見える看護師が心配そうに竜を除き込んでいる。 「一緒に運ばれて来た方はお知り合いですよねぇ?」 俺はとっさに「おっさんだ!」と、思い、 「おっさんは?!」 と、かすれる声で聞いた。 「大丈夫ですよ。今はまだ…その…意識が戻ってないけど…。」 看護師は言葉を濁した。 …やっぱり…そうか…おっさんは俺がやられてるのを見て、一人で中に飛び込んで来たんだ… 竜は、身体を起こそうとした。 「いっ!いたたたたた…!」 凄い激痛が走る。 「まだダメですよ!1週間は動けませんよ!」 看護師が竜を押さえつける。竜はあまりの激痛に黙って従うしかなかった。 …ちきしょう!… それから1週間が過ぎたが仲間は誰一人こなかった…。だが竜は仲間の事なんて、もうどうでも良くなっていた。今回の事で竜の中の何かが変わり始めていた。1週間の間看護師が色々話しかけてくれていた。看護師の名前は「白石 まこ。」と、いって年は竜より2つ年上の18才で、今年看護師になったばかりだと言っていた。目が大きくてクルクル動く可愛らしい感じの人だった。凄くおっちょこちょいなところがあって、よく先輩看護師に怒られていた。 「おはようございます。」 今日もまこは、とびっきりの笑顔で入って来てカーテンを開けてくれる。まこの笑顔を見ると、竜はホッとした気持ちになった。 「おはよう。」 「竜君、今日から少しずつ動いていっていいですよ。まだ病院の中だけですけど、午後から病院の中を案内してあげますね。」 まこは、自分の事の様に嬉しそうにしている。その時、トントンっとノックする音が聞こえた。まこが、 「開けますね。」 と、言ってドアを開けるとそこには決まり悪そうに弥生が立っていた。弥生はまこをジロジロと見てから竜の所まで行きいきなり泣き出した。 「竜…ごめんなさい…。私のせいで酷い目にあって…。」 「いいよ。別にお前のせいじゃないし。」 「本当?本当に許してくれるの?!」 …竜は、初めて弥生が泣くのを見てドギマギしていた…。まこも顔を真っ赤にしてオロオロしていた。
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