第1章

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気持ちのいい春の風が首筋を撫でる。 体育館では久保田輝幸くんがポケットからとり出した紙を、目の高さに広げて持ち、卒業式の答辞を読み始めていた。 若林順子は苦痛に似た憧れに胸が締めつけられていた。 今日で高校生活も終わる。 もう久保田輝幸くんに会うこともできない。
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