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船に乗れるか見てくるから
そこで待ってろと
鷹雄様がおっしゃるので、
私はひとりぽつんと
取り残されてしまいました。
暇ですわ。
あまり離れなければ、
ちょっとくらい遊山しても
よいですわよね。……
私はすぐそばで
甘い匂いをさせている飴屋で
薄紅色の桜飴を一袋買い、
そばの大木にもたれかかって
足を休めました。
と、あちらに
四,五人で歓談されていた
若い男性の内のひとりが、
お友達に何か話された後で
こちらに歩いてきます。
藍染の浴衣を着崩したその人は、
役者のようなお顔に
長めの髪をおろして、
私より年上に見えます。
素敵な方ねと思っておりますと、
「君、どこから?」
と突然声をかけていらっしゃるので
びっくりして、
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