プロローグのようなもの

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 彼は言う。  不幸は自らが招いた結果である、と。誰のせいにするでもなく、それは自らの行いによって導いてしまっているものなのだと。  もちろん、持論である。 「銃口と同じだ」  カチャリと音がした。冷たい金属が、生暖かな皮膚に押し付けられる。彼は咥えた煙草を吸い、大きく吐き出した。煙と共に、落ちかけていた灰が宙を舞った。 「俺の銃口がお前の額に向いてんのも」  少しだけ銃口が額から離れる。  それが、死の合図。 「お前自身のせいだろう?」  冷ややかな笑みと共に、冷たい弾丸が放たれた。
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