君に言いたくて

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A「卒業かぁ………短いね、中学なんて。」 卒業式も終わり誰もいない教室で彼女が呟くように言った。 沢山のメッセージが書かれた黒板をそっと撫でる。 もうここに来ることもない。 B「そう…だな。」 思い募ってそれしか言葉に出来なかった。 光を纏ったカーテンが揺れる。 しんとした空気の中鼓動が波を打っていた。 ここを逃したらもう会えないかも知れない。 でもあと一歩の勇気が出てこない。 ふと彼女が微笑みながら涙を溢した。 A「もう君とも会えないかもしれないのか。」 嫌だなと言うかすれた彼女の声が鼓膜を震わせる。 何でもない言葉の羅列に胸が焦がされた。 あぁ、とようやく理解した。 やっぱりこのままなんて嫌だ。 A「じゃあね。今までありがとう」 彼女が目の前を通りすぎていく。 自分は反射的にその手を掴んだ。 B「なぁ………」 俺さ、ずっと━━━━ 君に告ぐ3秒前。
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