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「俺も貴浩兄さんの意見に賛成。今までまったく関わって来なかった俺が引き継いだとしても上手くいくとは思えないし。祥平は佐伯の父さんの仕事を見てきたんだし、今だってしっかりやってる。あとは『ピンチヒッター』とか軽い考えを捨てて、家業を継ぐっていう覚悟を決めるだけだ。サチさんと一緒だったらそれが出来るんじゃないのか?」
龍崎さんと主任がタッグを組んで祥平さんを説得している。
この2人、馬が合わないのかって思っていたけど、そんな事ないのかも。
さすが腹違いとはいえ、血の繋がった兄弟ってことかな。
「……兄さん2人に『覚悟決めろ』なんて言われちゃ敵わないよな。確かに俺は父さんの仕事ぶりを見てきたし、S・Factoryのことなら翔真兄さんよりも上手くやっていける自信もある。ただ、サポートにまわった方が本領発揮できるんじゃないかって……逃げてた。責任の重さから逃れようとしてたのかもな。サチを兄さんに取られるなんて我慢できないし、S・Factoryだって俺が父さんの時以上の会社にしてみせるよ。翔真兄さん、貴浩兄さん……。もし何か困った事があったら頼ってもいいかな?」
祥平さんの顔つきが変わった。
何かが吹っ切れたように、爽やかでいて真剣な眼差し。
さっきよりも何倍も男らしく見える。
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