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「実は、佐伯の父から手紙を託されたんだ。病に倒れ死を覚悟した時に遺言とまでいかないけど想いを書き記しておくって。この手紙のことは父さんと俺だけしか知らないはず」
龍崎さんが一枚の封筒を取り出した。
「しかし、いくら託されたとはいえ、この真実を明らかにするのは俺の役目ではないと思っています。だから今日はここに集まってもらったんです。文子さんが真実を告げるつもりがない事は、今までの貴女を見てきてよく分かりました。それで今朝ここに来る前に彼と話し合ってきたんです。そうですよね?吉田真さん」
え、吉田先生はまだ帰って来てないんじゃ……?
「失礼します」
そう言って部屋に入ってきた、吉田先生。
ずっとこの時を待っていたんだろうか?部屋の外で……。
私たちの話もずっと聞いていたのだろうか。
「文子さん、ご無沙汰しています。……祥平くんも」
「お久し振りです、吉田さん。…………母さん!」
「あ、ああ…どうも、ご無沙汰しております………」
なんとも気まずい雰囲気になってしまった。
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